この記事の結論
50代になって、シャンプーのときの抜け毛が増えた気がする。そう感じても、最初にすることは、シャンプーを買い替えることではありません。
まず見てほしいのは、次の5つです。
- 以前の自分と比べて、本当に抜け毛が増えているか
- 増えた状態が一時的か、それとも続いているか
- 分け目・つむじ・髪全体のボリュームも変わっていないか
- 頭皮に赤み・かゆみ・痛み・フケなどがないか
- 数か月前から、体調・体重・食事・ストレスに大きな変化がなかったか
「排水口に髪がたくさん=すぐ薄毛」とは限りません。
ただ、急に抜け毛が増えた、分け目が広がってきた、円形に抜けている、頭皮に炎症がある。こういうときは、シャンプーだけで様子を見続けないほうがいい場合もあります。
私は58歳の現役美容ナースです。自分自身も分け目やつむじの薄さに悩み、シャンプーもこれまで数えきれないほど試してきました。
髪が気になり始めると、「シャンプーが悪いのかな」「もっといいものに変えたほうがいいのかな」と、つい商品探しから始めたくなりますよね。私も、まさにそうでした。
でも今の私なら、何を買うかを考える前に、まず「自分の髪に何が起きているのか」を見ます。
この記事では、50代女性が抜け毛の増加に気づいたとき、最初に何を確認すればいいのかを、順番に整理していきます。
シャンプー時の抜け毛は「本数」だけで判断しない
髪を洗っていると、指に髪が絡んだり、排水口にまとまって髪がたまったりします。
あの光景を見ると、「こんなに抜けて大丈夫?」と、どうしても不安になりますよね。
健康な人でも、1日に100本程度までの髪が自然に抜けることがあるとされています(日本皮膚科学会)。ただし、個人差や季節差、ヘアケアの仕方によっても変わるため、あくまで目安です。
髪を洗う頻度や長さによっても、洗髪時に目につく量は変わります。ロングヘアなら同じ本数でも多く見えますし、毎日洗わない人は、すでに抜けていた髪が洗うときにまとめて落ちることもあります。
だから、排水口から髪を拾って毎日数える必要はありません。
私が大事だと思うのは、「一般的に何本抜けたか」ではなく、「自分のいつもと比べてどう変わったか」です。
50代女性の抜け毛が増えたら確認したい5つ

1.以前の自分より、明らかに増えているか
まず見るのは、「他の人と比べて多いか」ではありません。1か月前、3か月前の自分と比べてどうかです。
たとえば、こんな変化が重なっていないでしょうか。
- シャンプー後、排水口の髪が以前より明らかに増えた
- ドライヤーのあと、床に落ちる髪が増えた
- ブラシにつく髪が増えた
- 朝、枕についている髪が目立つようになった
ただし、一日だけ多かったからといって、すぐに異常とは言えません。髪には生え変わりがあります。見るべきは、普段とは違う状態が続いているかどうかです。
2.いつから増えたのか
抜け毛が気になったら、「昨日、何をしたかな」だけでなく、少し前まで振り返ってみてください。
休止期脱毛と呼ばれるタイプの抜け毛では、大きな手術、重い感染症、発熱を伴う病気、急激な体重減少や無理なダイエットなど、体に大きな負担がかかったあとに抜け毛が増えることがあります。強いストレスが続いたあとに、一時的に増える場合もあります。
しかも、きっかけと同時ではなく、しばらく時間がたってから目立つことがあります。
だから、「最近は特に何もないのに、原因が分からない」と思っても、数か月前まで振り返ると、思い当たることが見つかる場合があります。
3.分け目・つむじ・髪全体も変わっていないか
抜け毛だけを見るのではなく、今生えている髪の変化も一緒に確認してください。
特に見たいのは、次のような点です。
- 分け目が、以前より広くなっていないか
- つむじ周辺の地肌が透けていないか
- 髪を束ねたとき、以前より細く感じないか
- 髪一本一本が細くなっていないか
- 頭頂部のボリュームが減っていないか
女性型脱毛症では、前髪の生え際が大きく後退するというより、前髪の少し奥から頭頂部にかけて薄くなるパターンがみられます。「抜け毛はそれほど多くないのに、分け目が少しずつ広がっている」というケースもあるのです。
だからこそ、抜け毛の本数だけで判断しないでほしいと思います。
私自身、薄毛を強く意識したきっかけも「抜け毛の本数」ではありませんでした。分け目やつむじの地肌が、思っていた以上に見えていたことでした。正面からしか自分を見ないので、頭頂部の変化には、なかなか気づけないものです。
私なら「同じ条件の写真」を残します
毎日鏡を見ていると、少しずつ進む変化ほど分かりにくくなります。
そこで私なら、同じ場所・同じ照明・同じ分け目・できるだけ同じ角度で、分け目とつむじの写真を残しておきます。
毎日撮る必要はありません。ときどき同じ条件で見比べると、「気のせいだった」のか、「以前より確かに広がっている」のかが分かりやすくなります。
これは美容ナースだからというより、自分が合わせ鏡で頭頂部を何度も確認してきたからこそ、たどり着いた方法です。
4.頭皮に赤み・かゆみ・痛み・フケがないか
抜け毛が増えたと感じたら、髪だけでなく頭皮も見てください。
特に、次のような状態があるときは注意したいところです。
- 強いかゆみ、赤み、痛み、ヒリヒリ感
- 急に増えたフケ、じゅくじゅくした部分
- 円形・部分的な脱毛
頭皮に症状があるときは、「抜け毛用シャンプーに変えてみよう」と自己判断で長く様子を見るより、皮膚科で確認したほうがいい場合があります。突然まとまって抜けたり、円形に髪がなくなったりするときも、通常の生え変わりとは分けて考えたいところです。
5.髪以外の体調変化も振り返る
抜け毛は、髪や頭皮だけの問題とは限りません。
日本皮膚科学会は、甲状腺機能低下症などの内科的な病気や、栄養状態、感染症などに関連して脱毛が起こる場合があると説明しています。
そのため、次のような心当たりがあれば、受診のときに医師へ伝えてください。
- 急に体重が減った、食事量が大きく減った
- 強い疲れや体調不良が続いている
- 大きな病気や手術をした、高熱が出る病気にかかった
- 新しい薬を飲み始めたころから変化を感じる
服用中の薬が気になるときも、自己判断でやめず、処方した医師や薬剤師に相談してください。
「50代だから」「更年期のせい」で片づけない
50代女性の抜け毛というと、「女性ホルモンが減ったから」「更年期だから仕方ない」と説明されることがよくあります。
確かに、日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、女性型脱毛症は更年期に多くみられるようになるとされています。
ただ、ここで気をつけたいことがあります。50代女性の薄毛や抜け毛を、すべて女性ホルモンだけで説明することはできません。
女性型脱毛症には、女性ホルモンの状態を含めさまざまな要因が関わると考えられていて、男性型脱毛症と同じ仕組みではありません。さらに、休止期脱毛、円形脱毛症、頭皮の疾患、内科的な病気など、抜け毛の原因はさまざまです。
だから私は、「50代だから仕方ない」で終わらせないほうがいいと思っています。年齢を重ねれば髪の変化は起こります。でも、年齢と病気を、同じものとして扱わないこと。ここは分けて考えたいところです。
「抜け毛が増えた=シャンプーが悪い」とは限らない

シャンプーのとき、たくさんの髪を目にすると、「このシャンプーが合っていないのでは」と思うのは自然なことです。
もちろん、使い始めてから頭皮に強いかゆみや赤み、ヒリつきが出たなら、製品が合っていない可能性も考えます。
一方で、抜け毛の原因が女性型脱毛症や休止期脱毛、別の疾患であれば、シャンプーを次々と買い替えても、原因そのものへの対応にはなりません。
シャンプーの役割は、基本的には頭皮や髪の汚れを落とし、清潔に保つことです。だから大切なのは、「抜け毛が多いから高価なものへ変える」ではなく、「今の頭皮に刺激が少なく、無理なく使い続けられるものを選ぶ」ことだと思います。
洗うときも、抜け毛が怖いからと回数を極端に減らしたり、逆にゴシゴシ強く洗ったりしなくて大丈夫です。頭皮に合ったシャンプーを使い、爪を立てず、やさしく洗う。それで十分です。
シャンプー選びそのものは、別記事の「50代女性向けスカルプシャンプーの選び方」で詳しくまとめています。
抜け毛が増えたとき、私なら最初にしないこと
抜け毛が増えると、不安になります。だからこそ、焦って次々と何かを始めたくなります。その気持ちは、痛いほど分かります。
でも私なら、次のことは急ぎません。
すぐに高いシャンプーへ買い替える
シャンプーを変えて、使用感や頭皮の状態がよくなることはあります。ただ、原因を確かめる前に「もっと高いものなら何とかなる」と考えなくても大丈夫です。
育毛サプリを何種類も飲み始める
髪には栄養が必要ですが、多ければ多いほどいいわけではありません。不足がある場合と、そうでない場合では考え方が違います。サプリを自己判断で重ねるより、まず普段の食事や体調を見直すほうが先だと思います。
抜け毛を毎日一本ずつ数える
毎日数えていると、少し増えただけでも不安が大きくなります。見るべきは一日の数字ではなく、「以前と比べて明らかに変化しているか」です。数字に振り回されないでほしいと思います。
こんな抜け毛なら、皮膚科への相談を考えて

では、どんなときに受診すればいいのでしょうか。
「〇本抜けたら受診」という単純な線引きはできません。ただ、次のような変化があるときは、シャンプーだけで長く様子を見ず、皮膚科など医療機関への相談を考えてください。
受診を考えたいサイン
- 急に抜け毛が増えた/まとまった毛が抜ける
- 円形・部分的に髪がなくなった
- 分け目やつむじの範囲が、少しずつ広がっている
- 頭皮に強いかゆみ、赤み、痛み、炎症がある
- 髪だけでなく、眉毛などほかの部位にも変化がある
- 強い体調不良や体重変化などもある
- 自分では原因が分からず、不安が続いている
日本皮膚科学会も、抜け毛の原因はさまざまで、原因によって対応や治療が異なるため、普段から抜け毛や頭皮の状態を把握し、変化に早めに気づくことが大切だとしています。
抜け毛は何科に行けばいい?
髪や頭皮そのものの変化が気になるなら、まず相談先として考えやすいのは皮膚科です。皮膚科は、皮膚だけでなく、毛髪や爪も診療する科です。
診察の結果、別の病気や体の状態が関係している可能性があれば、必要に応じてほかの診療科での確認につながることもあります。
「こんなことで病院へ行っていいのかな」と思う必要はありません。抜け毛が正常な範囲なのか自分では判断できない、という相談でもかまわないのです。
今日からできることは、3つで十分

抜け毛が増えたと感じても、いきなり何もかも始めなくて大丈夫です。まずは、次の3つからで十分です。
1.分け目とつむじを、同じ条件で写真に残す
今の状態を記録しておきます。あとから見比べる材料になります。
2.数か月前まで、体調を振り返る
病気、発熱、手術、急なダイエット、強いストレス、生活の大きな変化がなかったかを思い出します。
3.頭皮症状や明らかな変化があれば、皮膚科へ
「もう少し高いシャンプーを試してから」と先延ばしにしなくて大丈夫です。原因を確かめてから、自分に必要なケアを選べばいいのです。
58歳の私が、今思うこと
私も、髪の悩みを長く経験してきました。
分け目やつむじが気になると、鏡を見る回数が増えます。人の視線まで気になります。そして、「何かしなければ」と焦る。あの感覚は、今でもよく覚えています。
シャンプーを探したり、頭皮によさそうなものを試したりすること自体が、悪いわけではありません。私自身も、いろいろなシャンプーを使ってきました。
でも、今だから思うことがあります。
髪の悩みが出たとき、最初に必要なのは商品ではなく、「今、自分にどんな変化が起きているのか」を知ることでした。
シャンプーで対応できることなのか。生活を見直せばいいのか。医師に相談したほうがいい変化なのか。
そこが分かれば、必要のない商品を次々買うことも減ります。そして何より、「何が起きているのか分からない」という不安から、一歩抜け出すことができます。
まとめ|抜け毛が増えたら「何を買うか」より先に確認する
50代になって、シャンプー時の抜け毛が増えたと感じたら、まず次の5つを確認してください。
- 以前より、本当に抜け毛が増えたか
- 増えた状態が続いているか
- 分け目・つむじ・髪の太さも変化していないか
- 頭皮に赤み・かゆみ・痛みなどがないか
- 数か月前から、体調や生活に大きな変化がなかったか
50代は、髪の変化を感じやすい年代です。でも、「50代だから」「更年期だから」と決めつける必要はありません。そして、「シャンプー時に抜けるから、シャンプーが原因」とも限りません。抜け毛の原因は、一つではないからです。
まず今の状態を確認する。必要なら医療機関へ相談する。そのうえで、自分に必要なシャンプーや頭皮ケアを選ぶ。
この順番を、大切にしてほしいと思います。同じように髪で悩んできた一人として、心からそう願っています。
よくある質問
Q.シャンプー時に、何本くらい抜けたら異常ですか?
健康な人でも、1日に100本程度までの毛が自然に抜けることがあるとされています。ただ、洗髪の頻度や髪の長さで見え方が変わるため、本数だけで異常かどうかは判断できません。「以前の自分より明らかに増えた状態が続いているか」を見るほうが大切です。
Q.抜け毛が増えたら、シャンプーを変えたほうがいいですか?
すぐ買い替える必要があるとは限りません。頭皮に赤み・かゆみ・刺激感があり、使用中の製品が合っていないと感じるなら見直します。一方、女性型脱毛症や休止期脱毛など別の原因がある場合は、シャンプーを変えるだけでは原因への対応になりません。
Q.50代の抜け毛は、更年期が原因ですか?
更年期の年代に女性型脱毛症が増えることは知られていますが、50代女性の抜け毛が、すべて女性ホルモンだけで起こるわけではありません。体調、栄養状態、病気、休止期脱毛、頭皮疾患など、さまざまな可能性があります。
Q.分け目が広がってきた場合も、受診したほうがいいですか?
以前より分け目が徐々に広がっている、頭頂部の髪が細くなっている、ボリュームが明らかに減っている。こうした場合は、一度皮膚科などで相談する選択肢があります。女性型脱毛症では、分け目や頭頂部の薄毛が目立つことがあります。
Q.抜け毛は、何科に相談すればいいですか?
まずは皮膚科が相談先の一つです。皮膚科では頭皮や毛髪の状態を確認し、必要に応じて原因を調べます。体全体の症状や別の病気が疑われる場合は、ほかの診療科での確認が必要になることもあります。
参考資料
- 公益社団法人日本皮膚科学会「脱毛症 皮膚科Q&A」
- 公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
- American Academy of Dermatology Association「Do you have hair loss or hair shedding?」
- American Academy of Dermatology Association「Hair loss: Signs and symptoms」
- American Academy of Dermatology Association「Hair loss: Tips for managing」
※本記事は2026年8月14日時点で確認した情報をもとに作成しています。
本記事は、看護師である筆者の経験および一般的な医療情報をもとに、50代女性が抜け毛について考えるための判断材料を提供するものです。診断や治療を行うものではありません。急な脱毛や頭皮症状、体調の変化がある場合は、自己判断せず医師へ相談してください。

