この記事の結論
夏の終わりから秋にかけて、「シャンプーのとき、急に抜け毛が増えた気がする」「排水口にたまる髪が、夏前より多くなった」と感じる。そんな女性は少なくありません。
実は、人の髪には季節による変化があり、夏から初秋にかけて、抜ける前の段階にある髪が増える傾向が研究でも報告されています。
つまり、夏の終わりから秋に抜け毛が増えたからといって、すぐに薄毛が進行したとは限りません。
ただ、その一方で、「秋だから抜けているだけ」と何か月も決めつけてしまうのも、少し心配です。
特に50代は、季節による抜け毛だけでなく、女性型脱毛症や体調・栄養状態など、ほかの変化が重なっていることもあるからです。
そして、よく聞く「夏のダメージが秋になって一気に出た」という説明も、少し整理して考えたいところです。夏の紫外線が髪そのものを傷めることは分かっていますが、秋の抜け毛がすべて夏の紫外線ダメージで起きるわけではありません。
この記事では、次のことを順番に整理します。
- 秋に抜け毛が増えることは、本当にあるのか
- 夏の紫外線や夏バテは関係するのか
- 秋の抜け毛は、いつまで続くのか
- 「季節だから」で様子を見てよい変化と、受診を考えたい変化
- 50代女性が、今からできること
私は58歳の現役美容ナースで、自分自身も髪の悩みを長く経験してきました。秋だからと必要以上に怖がらず、でも年齢や季節のせいだけにもせず。自分の髪に何が起きているのかを見るための判断材料にしてもらえたら、と思います。
秋に抜け毛が増えるのは、本当にある?

「秋は髪が抜ける季節」と聞いたことがある方も多いと思います。これは、まったく根拠のない話ではありません。
髪には、成長期・退行期・休止期という毛周期があります。髪の多くは成長期にありますが、その後、退行期・休止期を経て自然に抜け、新しい髪へと生え替わっていきます。
抜け毛を訴えた女性を対象にした研究では、脱毛に関係する病気や薬剤の影響がある人を除外した823人を分析した結果、休止期の毛の割合が夏に最も高くなる傾向が確認されています。別の研究でも、8〜9月ごろに休止期毛が増える傾向が報告されています。
つまり、夏の終わりから初秋にかけて、いつもより抜け毛が目につくこと自体はあり得る、ということです。
シャンプーをしたとき。ドライヤーをかけたとき。朝、枕を見たとき。普段より髪が多いと、「このまま薄くなってしまうのでは」と不安になりますよね。
でも、季節的に抜け毛が増える時期がある。そう知っておくだけでも、少し落ち着いて自分の状態を見られると思います。
秋の抜け毛は「夏のダメージ」が原因なの?

秋に抜け毛が増える理由として、「夏に受けたダメージが秋になって出てくる」とよく言われます。
確かに、夏は髪や頭皮にとって負担が増えやすい季節です。強い紫外線、頭皮の日焼け、汗や皮脂、海やプール、冷房による乾燥、睡眠不足、夏バテ、食欲低下、強い疲労。こうしたものが重なることがあります。
ただ、私は「夏のダメージ=秋の抜け毛」と単純に結びつけないほうがいいと思っています。
秋の抜け毛には、季節による毛周期の変化も関係していると考えられています。また、夏に体調を崩した人と、元気に過ごした人では事情も違います。
大切なのは、季節による毛周期の変化に、夏の髪・頭皮・身体への負担が重なっている可能性がある、くらいに考えておくことだと思います。
「夏のダメージ」は、髪のダメージと抜け毛を分けて考える
ここは、意外と混同されやすいところです。紫外線などによる夏のダメージには、大きく分けて2つの見方があります。
今生えている髪そのものへのダメージ
紫外線は、すでに生えている髪そのものにダメージを与えることがあります。
夏の終わりに、髪がパサつく、ゴワつく、ツヤがなくなった、毛先が切れやすい、色が褪せた、手触りが悪くなった。そう感じるなら、髪そのものが傷んでいる可能性があります。
ここで大事なのは、切れ毛と、毛根から抜けた髪は同じではないということです。
洗面台や床に短い髪がたくさん落ちている場合、根元から抜けているのではなく、途中で切れていることもあります。「秋になって抜け毛が増えた」と思ったら、落ちている髪が長い髪なのか、短い切れ毛なのか、一度見てみてください。
夏の体調変化が、あとから抜け毛として表れることもある
もう一つは、髪そのものではなく、身体への負担です。
大きな病気、高熱、手術、急激な体重減少、強いストレスなどのあとに、時間がたってから抜け毛が増えることがあります。これは「休止期脱毛」と呼ばれるタイプの脱毛です。
だから、「今は元気なのに、なぜ急に抜けるの」と思ったときも、少し前まで振り返ってみてほしいのです。
たとえば夏に、こんなことはなかったでしょうか。
- 大きく体調を崩した/高熱が続いた
- 食事がほとんど取れなかった/急激に体重が落ちた
- 強いストレスや、睡眠不足が長く続いた
抜け毛が気になり始めた「今」だけではなく、数か月前の自分の状態まで振り返ると、見えてくることがあります。
秋の抜け毛は、いつまで続く?
ここが、一番知りたいところだと思います。「秋の抜け毛って、いつまで?」「10月まで?」「11月になれば止まる?」
正直にお伝えすると、「○月までなら正常」と一律に決めることはできません。
研究では、夏あるいは8〜9月ごろに休止期毛が増える傾向は確認されていますが、「秋の季節性脱毛は○か月で終わる」という医学的な基準があるわけではありません。
季節による毛周期の変化はありますが、始まる時期も、抜ける量も、落ち着く時期も、人によって違うからです。だから「11月までなら大丈夫」「3か月なら季節性」と、カレンダーだけで判断しないほうがいいと思います。
私なら、日付よりも、抜け毛がどう変化しているかを見ます。
たとえば、夏の終わりに抜け毛が増えた。でも、その後は少しずつ減ってきた。分け目やつむじにも大きな変化はない。この場合は、季節による一時的な変化の可能性も考えられます。
一方で、次のような場合は、「秋だから」だけでは説明できない可能性も考えます。
- 抜け毛がどんどん増えている/なかなか減る気配がない
- 分け目が広がっている/頭頂部の地肌が以前より目立つ
- 髪が細くなってきた/全体のボリュームが減っている
50代女性は「抜け毛の本数」だけを見ない
50代の女性に、特に知っておいてほしいことがあります。
薄毛というと、「髪がたくさん抜ける」イメージが強いかもしれません。でも、女性型脱毛症では、大量の抜け毛より、分け目や頭頂部の変化から気づくことがあります。
たとえば、こんな変化です。
- 分け目が以前より広くなった
- 頭頂部が透けて見える
- 髪一本一本が細くなった/結んだときの毛束が細く感じる
- トップのボリュームが出なくなった
私自身も、薄毛を強く意識したきっかけは、抜け毛の本数ではありませんでした。分け目やつむじの地肌が、思っていた以上に見えていたことでした。
正面から鏡を見ているだけでは、頭頂部の変化には意外と気づきにくいものです。だから秋に抜け毛が増えたと感じたら、「どれくらい抜けたか」だけでなく、「今生えている髪がどう見えるか」も一緒に見てほしいと思っています。
私なら「去年の秋」と比べます

秋になると、「今年も抜け毛が多いな」と思うことがあります。でも、一年前の自分の髪がどうだったか、正確に覚えている人は少ないのではないでしょうか。
そこで私なら、分け目・つむじ・頭頂部を写真に残します。できれば、同じ場所・同じ照明・同じ分け目・同じ角度・乾いた髪、という条件をそろえます。
毎日撮る必要はありません。むしろ毎日見ると、小さな変化が気になりすぎてしまいます。ときどき同じ条件で撮って、数週間・数か月単位で比較するほうが分かりやすいです。
「去年も同じ時期に増えたけれど、その後戻った」のか。「去年より分け目が明らかに広がっている」のか。これだけでも、季節による変化なのか、それ以外の変化も考えたほうがいいのかを見る材料になります。
秋の抜け毛が気になっても、焦ってやりすぎない
抜け毛が増えると、何かしなければと思いますよね。私も髪で悩んできたので、その気持ちはよく分かります。
でも、秋になって抜け毛が増えたからといって、次のことは急がなくて大丈夫です。
- 高価なシャンプーを次々買う
- 育毛サプリを何種類も追加する
- 頭皮を強くマッサージする
- 抜け毛を毎日一本ずつ数える
特に、抜け毛を見るたびに本数を数えていると、不安がどんどん大きくなってしまいます。見るべきは、今日何本抜けたかより、以前の自分と比べて変化が続いているかです。
夏の終わりから見直したい3つ
1.紫外線対策を、夏だけで終わらせない
9月になったからといって、紫外線が急になくなるわけではありません。特に分け目や頭頂部は、直接日差しを受けやすい場所です。
外に長時間いる日は、帽子や日傘など、無理なくできる方法で頭部を守ります。髪のためだけでなく、頭皮の日焼け対策としても続けておきたい習慣です。
2.夏に乱れた食事を、一度リセットする
暑い時期は、「食欲がないから麺だけ」「冷たいものだけ」「簡単に済ませる」という日が増えやすくなります。
髪のために特別な食品を食べる必要はありません。でも、髪も身体の一部です。極端なダイエットや偏った食事が続けば、髪にとっていい環境とは言えません。
私は50代になってから、髪だけのためではなく、身体全体のためにも食事をかなり大切にしています。夏に食事が乱れていたなら、サプリを増やす前に、まず普通の食事に戻す。私なら、そこから始めます。
3.頭皮を、洗いすぎない
夏は汗や皮脂が気になります。だから「頭皮をもっとしっかり洗わなきゃ」と思う方もいるかもしれません。
でも、爪を立ててゴシゴシ洗ったり、必要以上に何度も洗ったりしなくて大丈夫です。自分の頭皮に合ったシャンプーを使い、指の腹でやさしく洗う。基本はそれで十分です。
秋になったからと急に特別なケアを増やすより、頭皮に余計な負担をかけないことを意識してみてください。
こんな抜け毛なら「秋だから」で済ませない
季節性の抜け毛かどうかを、自分だけで完全に判断することはできません。次のような変化があるときは、「秋だから、そのうち戻るだろう」と長く様子を見すぎないほうがいいと思います。
「秋だから」で済ませたくないサイン
- 抜け毛が明らかに増え続けている/時間がたっても減る気配がない
- 分け目やつむじが、徐々に広がっている
- 髪が以前より細くなってきた
- 円形・部分的に抜けている
- 頭皮に強い赤み、かゆみ、痛みがある/フケや炎症が急に増えた
- 眉毛など、髪以外にも脱毛がある
- 強い疲労や体重変化など、身体にも変化がある
抜け毛には、季節だけでなく、女性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭皮の病気、内科的な病気など、さまざまな原因があります。気になる変化が続くなら、皮膚科など医療機関へ相談することも選択肢です。
58歳の私が、秋の抜け毛で一番気をつけたいこと
私自身、分け目やつむじの薄さに悩んできました。
髪が気になり始めると、排水口を見る。鏡を見る。頭頂部を見る。また鏡を見る。確認する回数が、どんどん増えてしまうんですよね。
でも今になって思うのは、こういうことです。
一日一日の抜け毛に振り回されるより、数か月単位で自分の髪がどう変わっているかを見るほうが大切。
夏の終わりから秋に、一時的に抜け毛が増えることはあります。だから「こんなに抜けた、このまま全部なくなるのでは」と、必要以上に怖がらない。
でも、「秋だから」「更年期だから」「50代だから」だけで片づけない。その間にある、自分のいつもの状態を知っておくことが大切だと思っています。
私は髪で悩んだからこそ、50代女性には、不安になって次の商品を探す前に、まず自分の髪を落ち着いて見てほしいと思っています。
まとめ|秋の抜け毛は「季節」と「自分の変化」の両方を見る
夏の終わりから秋にかけて、抜け毛が増える季節的な変化は、研究でも報告されています。また、夏の強い紫外線が、髪そのものにダメージを与えることも分かっています。
ただし、「秋の抜け毛=全部、夏のダメージ」ではありません。季節による毛周期。夏の体調や生活。髪への紫外線ダメージ。そして50代以降に起こりやすい髪の変化。いくつかの要因を、分けて考えたいところです。
そして「秋の抜け毛はいつまで続く?」については、「○月までなら大丈夫」と一律には言えません。見てほしいのは、次の点です。
- 抜け毛が、少しずつ落ち着いているか
- 分け目やつむじが、広がっていないか
- 髪全体が、細くなっていないか
- 頭皮や身体に、ほかの変化がないか
秋だから、と焦りすぎない。でも、秋だから、と放置しすぎない。そのバランスを、大切にしてほしいと思います。
よくある質問
Q.秋になると、本当に抜け毛は増えますか?
髪には季節による変化があり、夏から初秋にかけて休止期の毛が増える傾向が研究で報告されています。ただし、すべての人が同じ時期に、同じ量だけ抜けるわけではありません。以前の自分と比べてどう変化しているかを見ることが大切です。
Q.秋の抜け毛は、いつまで続きますか?
「○月まで」と一律に決めることはできません。抜け毛が少しずつ落ち着いているか、分け目やつむじの見え方が変化していないかを確認してください。長く続く、さらに増える、薄毛が進んでいると感じる場合は、季節だけが原因と決めつけず、医療機関への相談も考えます。
Q.夏の紫外線が原因で、秋に抜け毛が増えるのですか?
紫外線が髪そのものを傷めることは分かっています。ただし、秋の抜け毛がすべて夏の紫外線によって起こると断定することはできません。季節による毛周期の変化や体調など、複数の要因を考える必要があります。
Q.秋は1日に何本くらい抜けても大丈夫ですか?
日本皮膚科学会では、1日の抜け毛は個人差や季節差、ヘアケアの仕方によって異なるものの、おおよそ1日100本程度までと説明しています。ただし、「秋なら何本まで大丈夫」という別の基準があるわけではありません。本数だけでなく、以前の自分より明らかに増えた状態が続いているか、分け目やつむじにも変化がないかを見てください。
Q.50代で秋の抜け毛が増えたら、皮膚科へ行ったほうがいいですか?
一時的に抜け毛が増えることはあります。ただし、分け目や頭頂部の薄毛が進んでいる、円形・部分的に抜けている、頭皮に炎症や強いかゆみがある、抜け毛が減らず増え続けている、身体にも気になる変化がある。こうした場合は、季節だけで判断せず、皮膚科などへ相談してください。
参考資料
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「脱毛症 皮膚科Q&A」
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
- Kunz M, Seifert B, Trüeb RM. Seasonality of hair shedding in healthy women complaining of hair loss.
- Yang G, et al. Changes in Chinese hair growth along a full year.
- American Academy of Dermatology Association「Do you have hair loss or hair shedding?」
- Dario MF, Baby AR, Velasco MVR. Effects of solar radiation on hair and photoprotection.
※本記事は2026年8月時点で確認できる情報をもとに作成しています。
本記事は、看護師である筆者の経験と一般的な医療情報をもとに、50代女性が抜け毛について考えるための判断材料を提供するものです。診断や治療を行うものではありません。抜け毛や頭皮症状、体調の変化が続く場合は、医師へ相談してください。

